2006〜2007シーズン

2006〜2007 SEASON

17 剣山8

(期日)2007年2月 (宿泊)日帰り (移動手段)車 
(剣山HP) http://www.ichiu.jp/ski/index.htm

体験記


↑雨が降って雪もザクザク・・・。
 前日の晴天とは打って変わってこの日は雨模様。気温がそれほど高くないことが幸いだが、天気が好転することはないようだ。この日剣山でバッジテストが行われる予定だ。バッジテストは年間に何回かあるが、他の日は既に予定が入っているため、筆者にとっては今シーズン最後のチャンスとなる。天気は悪そうだが、山へ車を走らせた。麓で降っていた雨は上部へ上がるたびにみぞれ混じりの雪に変わっていった。麓のロッジには普段早くから何人もの客がいるが、この日は悪天候の影響とゲレンデコンディションの悪化が影響して人はまばらだ。外は雨だが、一般の客が少ない分、人とぶつかる心配もなく安心して検定に望むことができそうである。
 検定の受付が近づき、段々人が増え始める。ジュニア部の保護者の顔もちらほら。前週講習会を受けずに検定にチェレンジし、厳しい点数をつけられた筆者は今回は迷わず午前中の講習会に申し込んだ。剣山スキー場の講習料はわずか千円。大山は講習料・検定料合わせて六千円も取るのに対し、こちらは半額の三千円。非常に良心的だ。受付の担当者も終始笑顔で感じがよかった。
 今回は1級から3級まで16名の参加者で開校式が始まった。筆者は受付が一番だったためスタートも先頭だ。いままで四回検定を受けたが先頭になるのは始めてだ。少々緊張するが、講習会の段階から滑りをきちんと見てくれるので、いいポジションだと言える。開校式の後、レッスンが始まった。リフトで上に上がると、ものすごい霧で前が全く見えない。雪もほとんど雨に近い状態なのでどんどん身体が濡れてくる。おまけに気温も氷点下近い。身体がだんだん冷たくなってきた。集中力を持続しにくい状況だったが、これが今シーズン最後のチャンスだと言うことを肝に念じ、気合いを入れてレッスンを受けた。講習のコーチは高い声で外でもよくわかるように説明をしてくれた。以前大山のスクールでレッスンを受けたときには、担当のコーチが専門用語のオンパレードで全く意味がわからなかった事があったが、剣山のコーチはそれとは対照的で二級のレベルに合わせた分かりやすい言葉遣いで丁寧に指導をしてくれた。上手くいったときには自信を持たせるような温かい声かけも忘れなかった。寒い中の講習だったが、午後の検定に向けて大きな力を与えてくれたような気がした。

↑雨の降り続く中、検定が始まった
2月のトップシーズンなのに・・・
 昼食時間の後、いよいよ検定が始まる。午後もずっと雨は降り続き、ゲレンデの雪も荒れてきてコンディションは最悪だ。まず最初は大回り。筆者が比較的得意な種目である。ターン時に身体を回す癖があるので、上体を固定するよう気をつけスタート。途中板に上手く乗り切れていないのかアイスバーン気味の場所で少し板がずれた。勢いだけはアピールできたか?続いて総合滑走。筆者はイマイチこの種目の趣旨が理解できていなかったのだが、前週に1級ホルダーの方から大回りと中回りを中心に元気良くというアドバイスをもらっていたので、その通りに実行。数メートル直滑降で進んだ後、勢いをつけて大回り、途中でターンを変えて審判団の前でストップ。こちらもなかなか上手くいった。続いて小回り。上体を斜面に正対させ、後傾にならないように注意をして滑る。講習でターンが浅すぎるとの注意を受けたので、下半身を大きく回すよう注意をした。そして最後に中回り。まだ、この種目は合格点が出たことがないが、栂池でもらったアドバイス「小回りよりも切れを意識して」と午前中の講習でコーチから褒められたことを思い出して、丁寧に回っていった。・・・終了。
 外は雨が降り続き、気温も下がって風邪を引きそうな状態だったが、ロッジに戻って温まり結果を待つ。今回が最後のチャンスとあって時間が近づく度に緊張が増す。検定終了1時間ほどして閉会式が始まった。検定員の講評の後、結果発表。3級から順に合格者名が読み上げられていった。
 そしていよいよ2級の発表。緊張感がぐっと増す。「合格者は・・・ゼッケン80番、sanodesuさん」筆者の名前が読み上げられた。その瞬間、これまでの四回()の検定で肩を落とした事や前週大山で受けた仕打ち、今シーズンでの合格を目指してジムでランニングに精を出した事などが頭に浮かび、胸がいっぱいになった。感動に続いて沸き上がる喜び。会場に誰もいなければ歌でも歌いながら辺りをかけずり回りたい気分だったが、気持ちを抑えた。しかし、それでも感情がすぐ表情に出る筆者。他の保護者の方から「ものすごく嬉しそうな顔をしている」と指摘された。
 その時、筆者の携帯電話が鳴った。妻からだった。「ところで、検定の結果はどうだった?」心配していると言うよりも面白半分のような声。・・・「合格した。」と言ってしまうと面白くないので、「帰ってから言う」とわざと不機嫌そうな声で答えた。
 会場でしばらく余韻に浸った後、家への帰路につく。どうやってこの喜びを家族に伝えようかと考えながら、車を走らせた。家には直行せず、途中温泉にたち寄り体の疲れを取りつつ作戦を練る。折角のお祝いの場に何もなければ寂しいので、ケーキ屋に寄ってショートケーキを四個買った。そして、家に戻り、玄関のドアを開けながら思いっきり機嫌の悪そうな声で「ただいま・・・」とつぶやく。本当はすぐにでも合格のバッジを見せびらかせたかったのだが、家族のいる居間へすぐには寄らず、黙々と自分の部屋で道具の後かたづけをした。
 30分ほどして夕食を食べている家族の所へ向かった。食堂のテーブルでは長女がニヤニヤしている。「パパ検定どうだったん?」と意地悪そうな声で聞いてきた。

と叫びたい気持ちを抑えながら、「言わんでもわかっとるだろう。」と眉間に皺を寄せて長女をにらんだ。「またダメだったん?」と長女が言うと、わかっているくせに長男が「パパまたあかんかったん?」と口を揃えて聞いてきた。普段勉強で怒られてばかりいる子どもたちが力を合わせて父に屈辱感を与えようとしている。「そんな事言われん。」と言いながら目尻が下がって面白くて仕方がない妻。
 よっしゃー!これで思い通りのシチュエーションになった。・・・時は来た!
ポンと合格バッジを食卓の上に投げ捨てた。

一瞬時間が止まった。


↑一番驚いたのは長女だった。

↑文句を言いながらもケーキだけはしっかりと食べる長男と妻。

↑二級の合格証とバッジ

 「・・・受かったん?」一番派手な反応をしたのは長女。筆者が大きくうなずくと、小さな目を二倍に見開いて「パパ受かっとるわ。」と大きな声を上げた。妻は平静を装いながら「やっと受かったんやね。」と笑顔をこちらに向けたが、そのコメカミがピクピク震えているのを確認した時、筆者は心の中で「勝った」と叫んだ。
 「あーあ。もうこれでパパを馬鹿にできん。」
と悔しがる長女。「やっと『真っ白』(注)からおさらばできるな。」ひとしきり会話が弾んだ後、しばらく無言で様子を見ていた長男がニヤニヤしながら近づいてきた。何かお祝いの声をかけてくれるのかとじっと顔を見ていたら、筆者の横を通り過ぎ、机の上の合格バッジを手に取った。そしてゴミ箱へポイ。
「なにしよんじゃコラー!」
筆者一家の戦いはまだまだ終わりそうにない。


↑苦節1年・・・。遂に合格!